『緑はよみがえる』全国順次公開

Buongiorno a tutti!!

『木靴の樹』、『楽園からの旅人』のイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督の最新作の登場です。

常に弱者に寄り添い、慈しみに満ちた眼差しで人間を見つめながら、同時に混迷を深める時代に対して根源的な問いを投げかけてきたオルミ監督。80歳を過ぎた彼が本作で描いたのは、父から託された戦争の記憶です。

「父はヒロイズムに駆られ、19歳で第一次世界大戦に従軍しました。しかし、過酷な戦場での体験はその後の父の人生を変えてしまいました。戦友を思い、父が涙するのを見たのは一度きりではありません」。終生心から離れなかった父の涙。オルミ監督は本作を父へ捧げています。

<ストーリー>
1917年、冬。第一次世界大戦下のイタリア・アルプス、アジア―ゴ高原。雪の山中に、イタリア、オーストリア両軍ともに塹壕を掘り戦況は膠着していた。敵は姿を見せないが、その息づかいが聞こえるほど近くにひそんでいる。劣悪な環境の塹壕に押し込められた兵士たちは、いつ落ちてくるかもわからない砲弾に怯え、戦意も失い、家路につくことだけを願っていた。彼らの唯一の楽しみといえば、家族、恋人から送られてくる手紙だけだ。
そんな時、厳しい戦況を知らない平地の司令部が出した理不尽な命令を携え、少佐と少年の面影を残す若い中尉が前線へとやってくる。通信が敵に傍受されているため、新たな通信ケーブルを敷けというのだ。命令を受けた大尉は、「土地の起伏も考えず地図をなぞっただけの計画だ。この月明かりの下で外へ出れば、狙撃兵の餌食だ!」と強く抗議し、軍位を返上してしまう。後を任されたのは何の経験もない若い中尉だった。彼は、想像とは違う戦争の酷薄さと、無力感に打ちのめされながらも、母への手紙にこう綴る。「愛する母さん、一番難しいのは、人を赦すことですが、人が人を赦せなければ人間とは何なのでしょうか」と・・・。

何も知らされないまま戦地に送り込まれた若者たちの痛みと悲しみ。自然の中に、戦争の愚かさとともに、人間の命の尊さを静かに描き出す。そして紛争がひろがる現代に、憎しみを越えて人間を信じること、赦すことの大切さを、私たちの心に訴えかけてくる―――。

『緑はよみがえる』
―4月23日(土)より全国順次公開―

<監督> エルマンノ・オルミ
<製作> ルイジ・ムシーニ エリザベッタ・オルミ
<脚本> エルマンノ・オルミ
<撮影> ファビオ・オルミ
<原題> Torneranno i prati 製作年2014年
<製作国> イタリア
<配給> チャイルド・フィルム、ムヴィオラ
<上映時間> 76分
<公式ホームページ>
http://www.moviola.jp/midori/

※公式ホームページ内
オルミ監督・キャストインタビューはこちらから

 

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