映画『シチリア・サマー』

Buongiorno a tutti!

1982年、2人の美しい少年が死んだ―。心震える物語が世界を動かした、最高純度の実話ラブストーリー!

映画『シチリア・サマー』、11.23(木・祝)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開!

イタリアで爆発的大ヒット!

『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が大絶賛

1982年、初夏の日差しが降りそそぐイタリア・シチリア島。運命的に出会った16歳と17歳の少年たちの眩しすぎる恋は、ある日突然終わりを迎える…。揺れる初夏の光、溢れだす想い、一瞬たりとも忘れない、そして忘れたくない初恋の記憶。あの日あの時の初恋の喜びと痛みを、観る者の胸に鮮やかに蘇らせる、最高純度の実話ラブストーリー。

イタリアで公開されるや、アカデミー賞4部門にノミネートされた『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が大絶賛し、名匠ナンニ・モレッティ監督も映画館へ駆けつけたという話題作。本国で劇場公開されると瞬く間に高評価の口コミが広がり上映館数が拡大、1ヵ月で国内興収は100万ユーロを突破するという爆発的大ヒットを記録した。

何よりも驚くのは、この物語が実際に起きたある事件に基づいていること。愛し合う2人の若者の命が奪われたその事件は当時のイタリアを震撼させ、今日までイタリア最大規模の団体として活動を続けるLGBTIに関する非営利団体“ARCIGAY(アルチゲイ)”が設立されるきっかけとなった。2人の若者の純粋な恋がイタリアを、そして世界を変え、今もなお、愛を信じる人々に勇気を贈り続けている。その真実の物語が、40年の時を経て遂に映画化された。

数百人から選び抜かれた人気急上昇中の新人スター主演

本国最古の映画賞で新人監督賞&俳優賞をW受賞

陽気で無邪気なニーノを演じるのは、ガブリエーレ・ピッツーロ。5歳で舞台デビューを果たし、本作が初の映画出演作となる。内気だが秘めた情熱を持つジャンニには、8歳からヒップホップとモダンダンスを始め、ダンサーとしても高い人気を誇るサムエーレ・セグレート。共に何百人もの若者たちが参加したオーディションの中から、彗星のごとく現れた新人スター。その瑞々しい演技で本作で2人揃ってナストロ・ダルジェント賞最優秀新人賞を受賞し、ヨーロッパで人気急上昇中。SNSのフォロワー数も爆発的に急増している。世代を超えて数多くの人々の心を虜にしている2人は、日本でも大注目を集めるだろう。

監督は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『シチリア!シチリア!』などに出演し、イタリアで俳優として活躍しているジュゼッペ・フィオレッロ。イタリアの新聞に特集された事件の記事を読み、2人の純粋かつ詩的な愛に感銘を受け、「いつか自分の手で世界に伝える」と決意したという。初の長編映画監督作となる本作で、ナストロ・ダルジェント賞の新人監督賞に輝いた。

撮影は実際に初夏のシチリア島で行われた。世界の美しさを思い出させてくれる青い空と海、バイクで走り抜ける新緑のトンネル、神秘的な泉、歴史が刻み込まれた街並みがスクリーンを染めていく。80年代のカラフルなファッションも、巡り巡って今は新しい。そして挿入歌として、没後もイタリアで愛され続けているシンガーソングライター、フランコ・バッティアートの有名曲が2人の物語を彩る。

【STORY】

 1982年、イタリアのシチリア島。初夏の日差しが降り注ぐある日、2台のバイクがぶつかった。乗っていたのは、花火師の父と優しい母親の元、大家族に愛情いっぱいに育てられた16歳のニーノ(ガブリエーレ・ピッツーロ)と、内気で友達もなく孤独な日々を送っていた17歳のジャンニ(サムエーレ・セグレート)。道に放り出されたジャンニは、衝突のショックで息が止まるが、駆け寄ったニーノが咄嗟に人工呼吸をし、息を吹き返す。ニーノは何かあったらと、自分の連絡先を書いた紙をジャンニに渡すのだった。

 翌日、ジャンニがニーノの家を訪ねて来る。ジャンニを愛してはいるものの、横暴な恋人に振り回される不器用な母親と、その恋人の整備工場でこき使われる日々にウンザリしていたジャンニは、ニーノの父親の花火工房で雇ってもらえないかと考えていた。工房には人を雇う余裕はなかったが、ニーノの伯父が責任者を務める採石場を紹介してくれることになる。

 採石場での初日の仕事を終えたジャンニを、ニーノがバイクで迎えに来る。ニーノは「僕しか知らない場所を見せたい」と、ジャンニをバイクの後ろに乗せて澄んだ水をたたえた泉へと連れて行く。新緑に囲まれた泉のほとりで、ニーノは色とりどりの花火が描かれたスケッチブックをめくりながら、「愛を伝えるなら優しい色を使う」と打ち上げ花火に込められた思いを語るのだった。仕事熱心なジャンニはすぐに叔父に気に入られ、2人は毎日のようにジャンニの仕事終わりに泉を訪れるようになる。ジャンニは太陽のように陽気で無邪気なニーノに心惹かれ、ニーノもまたジャンニの秘めた情熱に魅せられていく。ある日の帰り道、「一緒にいたい」とまっすぐに目を見て言うニーノに、「僕もだ」と答えるジャンニ。2人の友情は瞬く間に激しい恋へと変わっていった。

 花火師が最も忙しくなる8月。ニーノの父親からも信頼されたジャンニは、度々食卓を共に囲むほどすっかり大家族と仲を深めていた。ある日、ニーノの父親の持病が悪化し、聖セバスティアーノの祭りでニーノとジャンニが代わりに花火を上げることになる。初仕事は大成功。すぐに広まった評判に父親も大満足し、度々2人に仕事を任せるようになる。2人は車に乗り込み、歌を歌いながら海岸沿いを走らせ、夜になると空に大輪の花を咲かせるのだった。そして、街中がワールドカップの熱狂に包まれる夜、2人は初めてのキスを交わす。だが、この時代のこの地では、彼らの恋は許されなかった。ある祭の夜、急な雨に降られ、路地で雨宿りしていた2人を近所の人が目にする。さらに、息子の想いに気づいたジャンニの母親は、ニーノの母親に電話をかけて、「息子さんはまだ引き返せます」と告げる。

 父親と伯父からジャンニとの関係を激しく責められたニーノは、ジャンニと二度と会わないと約束する。そうして、それぞれの人生に戻った2人。だが、2人の胸に花火のように咲き誇る恋は消えてはいなかった。ある夜、ニーノは家を飛び出し、バイクに飛び乗ってジャンニの元に向かう。再会を果たし、互いの決意を確かめ合った2人は、颯爽とバイクを走らせる。しかし、彼らはこの上ない幸せの只中で、迫りくる運命の足音にまだ気づいてはいなかった──。

【Behind the Scenes】

ジャッレ殺人事件 The Crime of Giarre

1980年10月31日、シチリア島で10代と20代の若者2人が遺体で発見された。2週間前に失踪していたジョルジオ・アガティーノ・ジャンモンナと、アントニオ・ガラートラ(愛称トーニ)が、果樹園の木の下で手を繋いで横たわっているのが見つかり、2人の頭には1発ずつ銃弾が撃ち込まれていた。ジョルジオは16歳のとき、車中で恋人といたところを憲兵に告発されて以来、“お墨付きのゲイ”と侮蔑的によばれるようになり、自身も同性愛者であると公言していた。トーニとふたり、“婚約者”とよばれ、地元では恋人同士として知られていた。

事件は直後から同性愛者に対する憎悪によるものと目され、イタリア中からジャーナリストやテレビカメラが殺到する事態となったが、この悲劇は、シチリアの「沈黙の掟オメルタ」が同性愛者カップルの身の上と結びつけられることへの怖れがもたらしたものと取り沙汰された。トーニの葬儀には、二千人を超える参列者があったという。

事件の捜査は、トーニの甥、フランチェスコ・メッシーナを犯人として特定するに至ったが、当時13歳だったため刑事責任が問われることはなかった。供述によれば、少年は、ジョルジオとトーニに脅され止むなく発砲したが、さもなければ自分が殺されていたという。だが2日後、フランチェスコは供述が憲兵の強要によるものだと主張。

いまだに真相は明らかではないものの、トーニの家族が、同性愛者を家族に持つ“恥”から逃れようと、親戚のフランチェスコ少年に殺害を依頼したという説が浮上。この事件で有罪判決を受けたものは未だにいない。

いずれにせよ、この事件をきっかけに、1970年代から同性愛者の権利を訴えていた団体、FUORI!【この略称は、イタリア語で「外」を意味することから、内に籠もらず堂々と表(=社会)に出て同性愛者の権利を訴え闘おうという含意がある】がデモ活動をはじめ、事件のあったひと月後12月には、“ARCIGAY(アルチゲイ)”というLGBTIに関する非営利団体がシチリアのパレルモで設立された。ARCIGAYはその後全国に拠点を拡大し、イタリア最大の団体として、現在もLGBTI の人々に対する偏見やステレオタイプ、あらゆる差別と闘う活動をさまざまな組織と共闘しながら精力的に展開している。

【Staff and Cast】

監督・脚本 ジュゼッペ・フィオレッロ Giuseppe Fiorello

1969年3月12日、シチリア生まれ。90年代から劇映画、テレビ映画の多くの作品で活躍している。主な出演作に、マルコ・リージ監督『モニカ・ベルッチ ジュリア』(98)、ジュゼッペ・トルナトーレ監督『シチリア!シチリア!』(09)、ロベルタ・トッレ監督『キスを叶えて』(10)等。2012年に、エマヌエーレ・クリアレーゼ監督『海と大陸』でイタリア・ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞、ナストロ・ダルジェント賞最優秀助演男優賞にノミネートされた。俳優・脚本家・監督・プロデューサーなどマルチに活躍している。本作が初の長編映画監督作。

挿入歌 フランコ・バッティアート Franco Battiato

1945年3月23日、シチリア生まれ。没2021年5月18日。シンガーソングライター、作曲家、映画監督。“イル・マエストロ(巨匠)”のニックネームでも知られる。

2人が車で疾走するシーンで流れる「Cuccurucucù」、そして映画の原題にもなっている、エンドロールに流れる「Stranizza d’amuri」の2曲が使用されている。「「Stranizza d’amuri」は戦争中の叶わぬ恋を歌った歌で、ジャンニとニーノの物語に完璧な曲だと思った。」と監督はコメントしている。

ガブリエーレ・ピッツーロ Gabriele Pizzurro | ニーノNino 

2004年生まれ、イタリア・ローマ出身。5歳でトリノ劇場の舞台でデビューし、その後イタリアで数々の舞台に立ちながら演技力と歌唱力を磨く。2018年からテレビと映画の世界に興味を持ち、フランチェスコ・モンタナーリ監督のマスタークラスに参加、すぐにその世界に夢中になる。本作が初の映画出演作にして、ナストロ・ダルジェント賞最優秀新人賞と、アートハウス賞最優秀男優賞を受賞。ファッション誌の表紙を飾り、ジュゼッペ・フィオレッロ監督、サムエーレ・セグレートと共にヴァレンティノのファッションショーに招待されるなど、本作をきっかけに一躍脚光を浴びている。

サムエーレ・セグレート Samuele Segreto | ジャンニGianni

2004年生まれ、イタリア・パレルモ出身。8歳からヒップホップとモダンダンスを始め、2016年にテレビダンサーとしてデビュー。同年、ピエルフランチェスコ・ディリベルト監督『愛のために戦地へ』で俳優デビュー。「Il mio corpo vi seppellirà」(原題/ジョヴァンニ・ラ・パローラ監督・18)への出演を経て、本作が長編映画3本目の出演作。ガブリエーレ・ピッツーロと共にナストロ・ダルジェント賞最優秀新人賞と、アートハウス賞最優秀男優賞を受賞。2022年にイタリアのタレントショーにヒップホップダンサーとして出演し、ダンサーとしても人気急上昇中。

<インフォメーション>

映画『シチリア・サマー』11.23(木・祝)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開!

2022年/イタリア語/134分/スコープ/カラー/5.1ch/原題:Stranizza d’Amuri/

日本語字幕:高橋彩/後援:イタリア大使館(ロゴ)

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【公式サイト】movies.shochiku.co.jp/sicilysummer/

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