ジャコモ・プッチーニ 「蝶々夫人」

Buongiorno a tutti,

涙なしでは見られないプッチーニ永遠の名作『蝶々夫人』、世界へ羽ばたいたプリマドンナ中村恵理が蝶々夫人役で登場!

明治時代の長崎を舞台にし、「ある晴れた日に」などの名曲で蝶々さんの愛と哀しい運命が綴られるプッチーニのオペラ『蝶々夫人』。新国立劇場でも最も多く上演されてきたオペラで、これまでに18万人に及ぶ観客が鑑賞している人気作です。

アメリカ士官ピンカートンに一途な愛を捧げる蝶々さんの悲劇が、栗山民也演出により、国と国の関係が落とす影を感じさせる、鋭く雄弁なドラマとして迫ります。誰もが知る悲劇が、現代を映し出す風景でもある舞台となって一層深い共感を呼びおこします。

注目の蝶々夫人役は、新国立劇場オペラ研修所で学んで、英国ロイヤルオペラ、バイエルン州立歌劇場などの著名劇場で活躍を重ねる中村恵理。ドラマティックな表現で世界のオペラファンの心を揺さぶってきた中村恵理が、一段と成熟し、待望の蝶々夫人役でオペラパレスに登場します。中村にとっては、蝶々夫人役は今回が舞台上演でのロールデビュー。世界のオペラファンが注目する公演です。

共演には、ピンカートンにルチアーノ・ガンチ、シャープレスにアンドレア・ボルギーニとヨーロッパで活躍中の歌手を招聘します。スズキには確かなテクニックと伸びやかな演技が持ち味の新世代のメゾ但馬由香が出演、ゴローは糸賀修平が出演するなど、若手実力派の活躍も楽しみです。共演者たちからも聴衆からも信頼の厚い下野竜也の指揮も、クラシックファンには見逃せないポイントです。

<ストーリー>

【第1幕】明治時代の長崎。日本滞在中、現地妻を娶ろうというアメリカ海軍士官ピンカートンは、仲介人ゴローに新居を案内され、使用人を紹介される。結婚も家もいつでも契約破棄できると豪語するピンカートン。結婚を心待ちにしている花嫁を知るアメリカ総領事シャープレスは、ピンカートンの軽薄さを心配する。花嫁行列がやってきて、美しい花嫁、蝶々さんが現れる。「私は世界一幸せ」と嬉しそうに語る蝶々さんは15歳。裕福な武士の家の生まれだが父が切腹して亡くなり、今は芸者として生きている。結婚式が慎ましやかに行われている最中、叔父の僧侶ボンゾがきて、キリスト教に改宗した蝶々さんに絶縁を言い渡す。式は終わり、2人は甘い夜を迎える。

【第2幕】ピンカートンがアメリカに帰国して3年。「駒鳥が巣を作る頃に帰る」との言葉を信じる蝶々さんは、彼の帰りを待ち続けている。シャープレスとゴローは再婚を勧めるが、蝶々さんは断る。というのも、ピンカートンとの間に子供が生まれていたのだ。帰国後ピンカートンがアメリカで本当の結婚をしたことを知るシャープレスは言葉もない。そしてついにピンカートンの船が入港。

蝶々さんとスズキは部屋を花で満たして夫の到着を待つが、いつまでたってもやってこない。スズキの勧めで蝶々さんが奥の部屋で休んでいると、ピンカートン、シャープレス、そしてピンカートンの妻ケートが訪れる。スズキの応対で蝶々さんの思いを知ったピンカートンは、堪らず立ち去る。目覚めた蝶々さんはケートを見てすべてを悟り、子供をアメリカで育てたいというケートの言葉を受け入れる。父の形見の短刀に刻まれた言葉「名誉をもって生きられないものは名誉をもって死ぬ」ことを決意した蝶々さんは、子供に別れを告げ、自決。「蝶々さん!」と叫ぶピンカートンの声がむなしく響く。

指揮:下野竜也

2000年東京国際音楽コンクール優勝と齋藤秀雄賞受賞、01年ブザンソン国際青年指揮者コンクールの優勝で一躍脚光を浴び、以降国際的な活動を展開。国内の主要オーケストラに定期的に招かれる一方、ミラノ・ヴェルディ響、ストラスブール・フィル、ボルドー管、ロワール管、ウィーン室内管など各国のオーケストラに客演を重ね、09年ローマ・サンタ・チェチーリア管、チェコ・フィル、10年シュトゥットガルト放送響、11年南西ドイツ・フィルにデビュー。読売日本交響楽団の初代正指揮者(06年~13年)を経て、同団首席客演指揮者(13年~17年)として、10年余りの間、意欲的な姿勢とプログラム構成で高い評価を獲得。11年より広島ウィンドオーケストラ音楽監督。14年4月から京都市交響楽団常任客演指揮者、17年常任首席客演指揮者。17年より広島交響楽団音楽総監督。霧島国際音楽祭、サイトウ・キネン・フェスティバル松本をはじめ、数多くの音楽祭にも参加。オペラの分野でも注目の公演で指揮を務めている。出光音楽賞、渡邉曉雄音楽基金音楽賞、新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞、芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞。新国立劇場では12年、15年に『沈黙』を指揮している。

演出:栗山民也

早稲田大学文学部演劇学科卒業。主な演出作品に『GHETTO/ゲットー』『きらめく星座』『海をゆく者』『組曲虐殺』『スリル・ミー』『ピアフ』『藪原検校』『アルカディア』『ディスグレイスド 恥辱』などがある。紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞 最優秀演出家賞、芸術選奨文部大臣新人賞、毎日芸術賞千田是也賞、朝日舞台芸術賞、芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞。紫綬褒章受章。新国立劇場では、『今宵限りは・・・』『ブッダ』『キーン』『夜への長い旅路』『欲望という名の電車』『ピカドン・キジムナー』『夢の裂け目』『ワーニャおじさん』『櫻の園』『浮標』『涙の谷、銀河の丘』『夢の泪』『世阿弥』『胎内』『喪服の似合うエレクトラ』『箱根強羅ホテル』『母・肝っ玉とその子どもたち』『夢の痂』『CLEANSKINS/きれいな肌』『氷屋来たる』『まほろば』『雨』『マニラ瑞穂記』『あわれ彼女は娼婦』、オペラ『夕鶴』『蝶々夫人』を演出。2000年から7シーズン新国立劇場演劇芸術監督を務め、05年から16年3月まで新国立劇場演劇研修所初代所長を務めた。

蝶々夫人:中村恵理(ソプラノ)

大阪音楽大学、同大学院修了。新国立劇場オペラ研修所第5期修了。2008年英国ロイヤルオペラにデビュー。翌年、同劇場の『カプレーティ家とモンテッキ家』にネトレプコの代役として出演し、一躍脚光を浴びる。そののち、カーディフ国際声楽コンクールにて、歌唱賞・オーケストラ賞の両部門で本選進出。10~16年はバイエルン州立歌劇場専属歌手となり、『フィガロの結婚』スザンナ役でデビュー後、ケント・ナガノ、キリル・ペトレンコ、大野和士らの指揮のもと、『魔笛』『ホフマン物語』『ヘンゼルとグレーテル』『ボリス・ゴドゥノフ』などに主要キャストとして出演。英国ロイヤルオペラに『フィガロの結婚』スザンナ、『ウェルテル』ソフィー、『トゥーランドット』リューなどで客演に招かれるほか、ベルリン・ドイツ・オペラ、ザルツブルク州立劇場など客演多数。16年11月、『チェネレントラ』クロリンダでウィーン国立歌劇場にデビュー。19年には台中国家歌劇院の『神々の黄昏』ヴォークリンデに出演。12年度アリオン賞、15年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、17年第47回JXTG音楽賞洋楽部門奨励賞受賞。大阪音楽大学客員教授、東京音楽大学非常勤講師。新国立劇場では『フィガロの結婚』バルバリーナ(03、05年)、スザンナ(07、17年)、06年『イドメネオ』イーリア、07年『ファルスタッフ』ナンネッタ、19年『トゥーランドット』リューなど出演多数。

ピンカートン:ルチアーノ・ガンチ(テノール)

ローマ生まれ。豊かで明るい声で魅了する新世代のテノール。2001年ドミンゴの「オペラリア」コンクール入賞、同年『フィガロの結婚』『ジャンニ・スキッキ』でデビューし、翌年には『椿姫』アルフレードに出演。プッチーニ・フェスティバル『蝶々夫人』ピンカートンをはじめ、『ラ・ボエーム』ロドルフォ、『カヴァレリア・ルスティカーナ』トゥリッドゥとプッチーニの諸役を歌い、12年にザルツブルク州立劇場『椿姫』で国外デビュー。ミラノ・スカラ座、フィレンツェ歌劇場、ナポリ・サンカルロ歌劇場、ヴェローナ野外音楽祭、ボローニャ歌劇場、パレルモ・マッシモ劇場などへ『蝶々夫人』ピンカートン、『トスカ』カヴァラドッシ、『椿姫』アルフレード、『イル・トロヴァトーレ』マンリーコ、『ナブッコ』イズマエーレ、『カルメン』ドン・ホセなどで次々に出演。近年では、サンカルロ歌劇場『蝶々夫人』ピンカートン、フィレンツェ歌劇場『カルメン』ドン・ホセ、ニース歌劇場『アンドレア・シェニエ』タイトルロール、リセウ歌劇場『アイーダ』ラダメス、マチェラータ音楽祭『イル・トロヴァトーレ』、『アイーダ』ラダメス、ボリショイ劇場『椿姫』アルフレードなどに出演している。新国立劇場初登場。

シャープレス:アンドレア・ボルギーニ(バリトン)

シエナ出身。多くの声楽コンクールに入賞後、2012年に『セビリアの理髪師』フィガロでデビューし、サン・ガルガーノとサン・ジミニャーノのオペラフェスティバルで『カルミナ・ブラーナ』のソリストを務める。12年から18年までバイエルン州立歌劇場専属歌手となり、『ラ・ボエーム』ショナール、『リゴレット』マルッロ、『ホフマン物語』ヘルマン、『カルメル会修道女の会話』看守、『カルメン』モラレスなど多くの公演に出演。最近では、バイエルン州立歌劇場のボーイト『メフィストーフェレ』ワグナー、トリエステ歌劇場『連隊の娘』シュルピス、カリアリ歌劇場『奴隷』イベール、『道化師』シルヴィオ、『椿姫』ジェルモンに出演。エルル音楽祭『ギヨーム・テル』タイトルロール、ブッセート・ヴェルディ劇場『アイーダ』アモナズロに出演。18年ラヴェンナ音楽祭では『リゴレット』タイトルロールに出演した。新国立劇場初登場。

スズキ:但馬由香(メゾソプラノ)

武蔵野音楽大学卒業、同大学大学院修了。第50回日伊声楽コンコルソ入選。第31回飯塚新人音楽コンクール第1位。2006年藤原歌劇団『ラ・チェネレントラ』ティーズベ役にてオペラ・デビュー。その後も『ラ・トラヴィアータ』アンニーナ、『ランスへの旅』モデスティーナ、『リゴレット』小姓、『どろぼうかささぎ』ピッポ、『セビリャの理髪師』ベルタ、『ノルマ』クロティルデ、『蝶々夫人』スズキ、『貞節の勝利』ロジーナ・カルッチャなどに出演、2018年『ラ・チェネレントラ』ではタイトルロールのアンジェリーナに出演し好評を博す。オペラのほか、『第九』『メサイア』『スターバト・マーテル』、モーツァルト『レクイエム』『戴冠ミサ』などの宗教曲のソリストやコンサートでも活躍している。新国立劇場には20年『夏の夜の夢』ハーミアでデビューした。藤原歌劇団団員。

<インフォメーション>

ジャコモ・プッチーニ 「蝶々夫人」

全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

公演日程:2021年12月5日(日)14:00/7日(火)19:00/10日(金)14:00/12日(日)14:00

会場:新国立劇場オペラパレス

チケット料金:S:22,000円・A:16,500円・B:11,000円・C:6,600円・D:3,300円・Z:1,650円 前売開始:2021年11月6日(土)

※新型コロナウイルス感染症拡大予防対策を講じた新時代の生活様式に基づき、演出の一部を変更して上演します。

※招聘キャスト、指揮者につきましては、出入国制限の状況により変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

指揮:下野竜也

演出:栗山民也

美術:島次郎

衣裳:前田文子

照明:勝柴次朗

再演演出:澤田康子

舞台監督:斉藤美穂

蝶々夫人:中村恵理

ピンカートン:ルチアーノ・ガンチ

シャープレス:アンドレア・ボルギーニ

スズキ:但馬由香

ゴロー:糸賀修平

ボンゾ:島村武男

神官:上野裕之

ヤマドリ:吉川健一

ケート:佐藤路子

合唱指揮:冨平恭平

合唱:新国立劇場合唱団

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

芸術監督:大野和士

公演情報 WEBサイト https://www.nntt.jac.go.jp/opera/madamabutterfly/

チケットのご予約・お問い合わせ:新国立劇場ボックスオフィスTEL:03-5352-9999(10:00~18:00)

新国立劇場Webボックスオフィス:http://pia.jp/nntt/

チケット取り扱い:チケットぴあ、イープラス、ローソンチケットほか

*Z席1,650円:公演当日朝10時より、新国立劇場 Web ボックスオフィスほかで販売。1人1枚。電話予約不可。

*当日学生割引(50%)、ジュニア割引(20%)、高齢者割引、障害者割引、学生割引、当日学生割引(50%)など各種割引あり。

*未就学児入場不可。

*新国立劇場における新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組みと主催公演ご来場の皆様へのお願い  https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html

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