【本の魅力再発見!】『パパの電話を待ちながら』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリア文学を紹介します。
 今日皆さんに紹介するのは、イタリアが誇る児童文学者でジャーナリスト、そして教育者、ジャンニ・ロダーリの短篇集『パパの電話を待ちながら』(内田洋子訳、2009、講談社)です。

『パパの電話を待ちながら』Favole al Telefono
(内田洋子訳、講談社、2009年)

「イタリアの本好きもまたそうでない人も、一度は読んだことがある作家。それが、ジャンニ・ロダーリである。」(訳者あとがきより)

ビアンキさんは、月曜日から土曜日まで、毎日イタリア中を忙しく飛び回るセールスマン。『パパの電話を待ちながら』は、そんなビアンキさんが、毎晩9時きっかりに、北イタリアの自宅で待つ幼い娘に電話で聞かせてあげた、色々なお話を集めた短篇集です。

あちこちにすぐコロリと落っこちてしまうミニサイズの女の子、自分の体のパーツをどこかに忘れてきてばかりいる男の子、透明人間トニーノ、宇宙ヒヨコ…楽しいキャラクターの数々に、お菓子や乗り物、王様、海水浴、宇宙、遠い異国の地など、子供が大好きな物や場所や事件が次々と登場します。

ひっくり返るようなお話に、ほのぼのとしたお話、寓意に満ちたお話、思わず笑いが込み上げるお話。重たいお話や、オチのない「宙ぶらりんなお話」も。児童向けの易しく明快な言葉遣いに、一話2~3ページほどの短さでどんどん読み進められますが、童話らしいシュールな味わいは、くせになるかも。一度でもロダーリを読んだことがある方ならご存じの通り、日本の童話とは一味違った独特のユーモアと洒落が光ります。

また、素晴らしいのは、非常識と言われそうなことでも否定されないことでしょう。あとがきでも言及されているように、「間違いや、人と違うということをとがめない」のです。イタリアの日常というのは、日本人には想像もつかないような出来事に満ちていますが、その面白みの源であるイタリア的発想力や独自のセンスは、子どもの頃からこうしたお話を通じて養われるのかもしれませんね。

色とりどりの宝物が輝くおもちゃ箱のような一冊。春の日差しと風のなか、軽やかで楽しい読書はいかがでしょうか。
(T.)

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