カタラーニ《ラ・ワリー》第1幕でワリーが歌うアリア「ならば?私は遠くへいきましょう」〈さようなら、故郷の家よ〉
Alfredo Catalani LA WALLY Atto primo “Ebben?… Ne andrò lontana” (Wally)
オペラ《ラ・ワリーLA WALLY》はアルフレード・カタラーニAlfredo Catalani(1854-93)作曲の全4幕のオペラ。現在では公演されることがほとんどないが、この《ラ・ワリー》は1892年ミラノ・スカラ座における初演時には大成功を収めたという。現在ではこのアリアだけが頻繁に演奏される。
このオペラの舞台となっているのは1800年頃のスイス・チロル地方。
地主シュトロミンガー(Bs)の娘、ワリーは、狩人のハーゲンバッハ(T)に恋している。しかし父は執事のゲルナー(Br)と娘が結婚することを望んでいる。その結婚話を拒否した娘に、父は「家から出て行け!」と言う。それを受けて歌われるのが、この〈さようなら、故郷の家よ〉である。
この物語はこの後ワリー、ハーゲンバッハ、アフラ(Ms)、ゲルナーの恋心が交錯し、ワリーの気を惹きたいゲルナーが、ハーゲンバッハを橋から突き落とす。ワリーが助けに走り、ハーゲンバッハは一命を取り留める。アフラを愛していたはずのハーゲンバッハだが、自分の本当の気持ちに気づき、ワリーに愛を告白する。雪山でふたりが固く抱き合ったとき、雪崩が起きてハーゲンバッハは巻き込まれ谷底に落ちていく。ワリーがいくら呼んでもハーゲンバッハの返事はない。絶望したワリーが自ら谷底へと身を投げて、このオペラは終わる。
Ebben?… Ne andrò lontana,
ならば?…私は遠くに行きましょう
come va l’eco della pia campana
聖なる鐘がこだましていくように
là, fra la neve bianca; là fra le nubi d’ôr;
あの白い雪の中に、金色の雲の間に
laddove la speranza è rimpianto, è dolor!
そこで望めるのは、悔恨、そして苦悩!
O della madre mia casa gioconda,
ああ、幸せだった私の母なる家よ
la Wally ne andrà da te, da te lontana assai,
ワリーはお前から、お前から遥か遠くへ行くでしょう
e forse a te non farà mai più ritorno,
そして多分お前のもとには二度と戻らないでしょう
ne più a rivedrai! mai più, mai più.
ワリーを二度と見ることはないでしょう!けっして
Ne andrò sola e lontana………ecc.
私はひとりで、遠くへ行くでしょう…… etc.