【訃報】”出版界の女王”インゲ・・フェルトリネッリ死去

È morta Inge Feltrinelli, ultima grande regina dell’editoria internazionale

“出版界最後の偉大な女王”インゲ・フェルトリネッリ死去

9月20日未明、”出版界最後の世界的女王”と呼ばれたインゲ・フェルトリネッリ氏が亡くなりました。11月24日には88歳を迎える予定でした。いつもパーティーを後にする時と同じように、誰にも気づかれないようそっと静かにこの世を去りました。別れの儀式が好きではなかったのは、おそらく幾度となく別れを経験してきたからでしょう。プライベートを明かすことを好まなかった彼女は、病気と苦痛も最後まで公にすることはありませんでした。

「出版界の女王」と呼ばれたインゲ。60年前、まだ国際化とは程遠い時代のイタリアに彼女がもたらしたのは世界各地の文化でした。アンデガーリ通りの混沌とした編集作業と革命とユートピアが交錯する作業場で、インゲは文化的、かつ近代的、そして国際的事業を行うジャンジャコモ・フェルトリネッリ氏に寄り添いました。1972年3月に起きた、創業者(=ジャンジャコモ)の悲劇的な死の後、彼女はフェルトリネッリ社の真の救世主となり、羨望に値する文化的財産とともに、良好な経営状態で息子のカルロ氏に後を託しました。

インゲは編集者というより一つの空気そのものでした。5分彼女と過ごすということは、この世界に散らばっているブックフェアやこの50年の間に開かれた著名人や文化人が集まる最高に華やかなパーティー、何が飛び出すかわからない多彩な文化が行き交う流行の発信地を巡るメリーゴーランドに乗ることを意味していました。彼女のオフィスは生前ジャンジャコモ氏の仕事場でもあった場所で、その壁にはヴィッラデアーティで撮った1枚の写真が飾られていました。その写真は、彼女が世界中の編集者に囲まれて地面に寝そべっているものでした。「幸せな酔っ払いたち」、それがこの写真につけられたキャプションでした。戦前、インゲが目指していたのは、「ある晩はトーマス・マンが、次の日にはアインシュタインが顔を出した」、ベルリンの出版社Gottfried e Brigitte Fischer社のような、思考する世界が交差する、まるで愉快なキャラバンサライのような出版社でした。その後彼女は、インゲボルク・バッハマンやナディン・ゴーディマー, ギュンター・グラスやガルシア=マルケスなど世界中の文学者らとその理想を実現したのでした。(2018年9月20日付 la Repubblica紙 より一部抜粋翻訳)

Avatar photo