ミラノ生まれのイタリア人アーティスト、ブルーノ・ムナーリ。雑誌の編集をへて、数々の独創的な挿絵や絵本などを手がけ、その作品は今もなお幅広い人々に親しまれています。日本で最大のブルーノ・ムナーリ回顧展が、現在開催されています。
ムナーリは、幼少期から美術やデザインに関心を持ち、19歳の時に当時のイタリアを席巻していた前衛美術運動の未来派に参画し、大きな影響を受けました。一方で雑誌の編集や挿絵などの仕事を通じて、デザインへの関心と造詣も大いに深めていきます。第二次世界大戦後のムナーリはそうした経験を活かし、折りたたんで持ち運び可能な彫刻《旅行のための彫刻》や、コピー機を使いながらもオリジナルの平面作品《オリジナルのゼログラフィーア》といったかつてない美術作品、そして極めてシンプルであると同時に用の美を備えた照明や家具などを多数発表し、国内外で高く評価されました。
© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
くわえて、ムナーリは子ども向けの造形教育にも大いに興味を示し、遊具をはじめ、沢山のしかけが込められた絵本などを発表します。さらには子どものためのワークショップも考案し、それらは身の回りの慣れ親しんだ素材から創造力を飛躍させる創作活動として、今日でも全く色褪せることがありません。
本展では、1985年にこどもの城(渋谷)における回顧展の際に実演されたワークショップを「ムナーリを読み解く鍵」として、その全生涯にわたる作品約320点が紹介されます。そのうち約150点は日本初公開となる作品で、未来派に関わっていた時代の作品、そして晩年の絵本原画など、これまで日本であまり知られてこなかったムナーリの一面を教えてくれるでしょう。また、ムナーリの絵本や遊具を手に取ることができる場も設けられており、言葉を超えるムナーリの表現や思想に触れることができます。画家、彫刻家、グラフィック・デザイナー、インダストリアル・デザイナー、発明家、著述家、子どもといっしょに遊ぶ人――あらゆる肩書きを持つ稀代の表現者ブルーノ・ムナーリの日本最大の回顧展を、ぜひお見逃しなく。
ウェブサイト:http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2018/munari/index.html
展覧会概要:
会期:2018年4月7日(土)から6月10日(日)まで
会場:神奈川県立近代美術館 葉山
開館時間:午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで) 休館日:月曜日(4月30日は開館)
観覧料:一般1200(1100)円/20歳未満・学生1050(950)円/65歳以上600円/高校生100円